強引社長といきなり政略結婚!?

気のない返事を繰り返す私に、多恵さんが「なにかありましたか?」と尋ねる。


「……なにもないよ」


一瞬言葉に詰まりながらも、首を横に振った。

浩輔くんとの一件よりも気になって仕方がないのは、日下部さんが言っていたことだ。それは、多恵さんにも話せていない。
やっぱり私のことを本気で好きになる人はいないんだと、笑い話にしてしまおうかとも思った。笑い飛ばして、自分の気持ちも吹き飛ばしてしまおうかと。

でもまだそうすることもできずに、心の整理がつかずにいた。

多恵さんとふたり、まったりと紅茶を飲んでいると、コンコンコン!と忙しなくドアがノックされ、返事をする間もなく、母がドアから飛び込んできた。
私も多恵さんも、驚いてソファから腰を浮かせかける。


「汐里、朝比奈さんがお見えよ」

「え!?」


たった今、多恵さんと話していたところだけに、ふたりで顔を見合わせた。
母のうしろから、朝比奈さんが顔を覗かせる。

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