強引社長といきなり政略結婚!?

というのも、浩輔くんから再三にわたって連絡が入っていたからだ。


「電源を切っていたので」

「なんか機嫌悪い? もしかして、ここ数日、連絡しなかったことを怒ってる?」


朝比奈さんがチラッとこちらを見た。

朝比奈さんは私のことを好きなわけじゃない。ほしいのは、父の会社。
胸の中に鬱積した不信感が、みるみるうちに膨らんでいく。それらが今にも口から飛び出そうになった時だった。

朝比奈さんの左手が私の頭に触れる。
あやすようにポンポンとされて、はちきれそうになった不信感が途端に小さくなっていく。シューッと空気の抜けたビニール人形のようだった。


「ごめん、汐里。拗ねないでくれ」

「別に拗ねてないです」


言葉と裏腹に唇が尖っているのは、自分でもわかった。頭と心がバラバラで、どうにもできない苛立ちからだ。
信号が赤に変わって、車がゆっくりと停車した。


「汐里」

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