強引社長といきなり政略結婚!?

呼ばれて顔を向けたところで、不意打ちで唇が重なる。
すぐに離れた朝比奈さんは、「隙あり」といたずらっぽく笑った。

こうしていると、日下部さんが言っていたことは夢だったんじゃないかと思ってしまう。もしくは、朝比奈さんの仕事の邪魔をした私に、ちょっとした意地悪のつもりで言っただけだとか。
都合の悪いことから目を背けたくて、自己防衛でそう思っているのはわかっているけれど。

そういえば、日下部さんは朝比奈さんと離れざるを得ないことが起こると言っていたけれど、それはいったいなんだろう。

そんなことを考えているうちに車が停車し、朝比奈さんが助手席へと回り込んだ。差し出された手を取り降り立つ。

高級に位置づけされているホテル【ル・シェルブル】の前だった。ジーパンで入るには忍びない場所だ。
それでも朝比奈さんは気にすることなく車のキーをドアマンに預け、私の腰に手を添えて歩き出す。


「着替える場所を用意してもらっているから」


彼は手にしていた紙袋を私に見せるように持ち上げた。

エントランスから入りゴージャスなロビーを抜けていく。

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