強引社長といきなり政略結婚!?
肝心なことを朝比奈さんに聞けていないけれど、今この場で否定することはできない。朝比奈さんのメンツもあるから。
すると男性が、虚を突かれたような表情になる。
「婚約?」
「はい、そうですが……。なにか……?」
朝比奈さんが尋ねると、「いや、いいんだ」とその男性は手をひらりと顔の前で振って、「それじゃ、失礼するよ」と会場の中へと先に入っていった。
朝比奈さんとふたり顔を見合わせ、首を傾げ合う。
今のリアクションは、いったいなんだろう。
「俺たちも入ろう」
気を取り直したらしき朝比奈さんに伴われて、扉を開ける。
中は、披露宴会場をいくつかつなげたような広さ。すでにパーティーは始まっているみたいだ。立食形式らしく、大勢の着飾った人たちが、思い思いに料理を手に取り歓談している。
朝比奈さんのおじい様も今日はここにいるのかな……。
ふとその顔を思い出して、嫌な緊張に包まれる。