強引社長といきなり政略結婚!?
そもそも朝比奈さんは、私のことを好きで結婚を申し入れたわけじゃない。藤沢ゴルフ倶楽部がほしかったから。私は単なるおまけだ。
私だって、会ってすぐにプロポーズしてきた朝比奈さんをはじめは怪しんでいたくせに。いつの間にか彼のペースにすっかり乗せられ、浮かれて舞い上がっていた。冷静に考えればわかることだったのに。
息苦しさに胸が詰まる。
「汐里、帰る必要はない」
不意に朝比奈さんが私の手を握った。見上げた顔が苦悩に満ちる。
誰の言葉を信じたらいいのかわからなくなった。
コンラッド開発の会長であるおじい様はきっと、朝比奈さんからしたら敵わない存在。おじい様の言うことに歯向かうとは思えない。
ゴルフ場を手に入れようとしていたのは、おじい様を喜ばせるため。そのおじい様が『いらない』と言えば、必要なくなる。つまり、私も用済みに。
気持ちが伴っていなかったのだから、当然そうなるだろう。
朝比奈さんの手をやんわりと外した。
彼が「汐里?」と顔を覗き込む。
「私、帰ります」
きっぱりと告げた。