強引社長といきなり政略結婚!?

後続車からはクラクションが鳴り響いていた。痺れを切らせた車が、次々に私たちの車を追い越していく。


「降りたくなければ、このまま発進するけど」


私が今、逃げたところで、問題を先延ばしにするだけ。彼の様子だと、自宅に追いかけてくるだろうから。


「話をつけてくる」

「オッケー」


浩輔くんはあっさり了承すると、ドアロックを解除してくれた。
待っていましたとばかりに、焦ってドアが開けられる。


「おいで」


朝比奈さんに手を取られて、助手席から降り立った。ドアのヘリに手をかけ、朝比奈さんが車の中を覗き込む。


「西野さん、汐里を渡す気はありませんので」


強い口調だった。

< 210 / 389 >

この作品をシェア

pagetop