強引社長といきなり政略結婚!?
一成さんと会長さんのこと同様、私も気になることだ。
「うーん、それがねぇ……」
父は両腕を胸の前で組んで唸った。
いい方向へ進んでいないことは一目瞭然だ。
「どうも孝志は、私が勝手に一成くんとの話を進めたことが気に食わないみたいだな」
……え? そんなことで?
「それでへそを曲げて、浩輔くんの話に乗ったの?」
「話しぶりからすると、そんな節がある」
もともと頭が切れてやり手の孝志おじさんは、のんびり屋でおおらかな父よりも社長職に向いていると日ごろから自負していた。
内部的なことは私も詳しくは知らないけれど、父と孝志おじさんのやり取りを見ていると、立場が逆転しているように見えることが多い。理づめで話をどんどん進めるおじさんに、父はたじたじといったような場面を何度も見たことがあるからだ。
今回の件に関しては、会社の将来を左右すること。それを父の一存で決められて、腹に据えかねたといったところか。