強引社長といきなり政略結婚!?
ふたりのやり取りをぽかんと眺める。
「汐里、よかったな。これでうちのほうの問題はなくなったよ」
「……ほんとに? あの孝志おじさんが折れてくれたの?」
コンラッド開発とのことは認めないと、強硬な態度を貫いていたはずなのに。
「そうなんだ」
「突然どうして?」
孝志おじさんがそんな簡単に意志を曲げるなんて。
「藤沢ゴルフ倶楽部の代表権を譲ることにしたんだ」
父は大きく息を吐き出してから、穏やかな表情で言った。
代表権を……譲る……?
落ち着き払って言うような内容じゃないだけに、すぐに理解できなくてポカンとしてしてしまった。
それはつまり、父が社長の座から降りるってこと!?
遅ればせながらそうだと気づき、ソファで身を乗り出す。