強引社長といきなり政略結婚!?

「本気なの!?」

「ああ」


父は腕を組み、背もたれに体を預けた。


「藤沢ゴルフ倶楽部はコンラッド開発の傘下には入るが、会社としてなくなるわけじゃない。その代表の地位を孝志に譲ることにしたんだよ」

「だってお父さんは?」

「父さんは、名誉顧問として悠々自適に暮らしていこうと思ってる。母さんもそれで納得してくれてるんだ」


隣に座る母は微笑みながらうなずいた。


「汐里は一成さんという素敵な方と巡り会えたし、あとの心配事はないでしょう? だから、お父さんとふたりでゆっくりやっていくわ」

「まぁ、そういうことだ。だから、汐里は一成くんとの結婚だけ考えていればいいんだよ」


父が母の手を握りしめ、ふたりは笑い合った。
父が社長とはいえ、これまでも経営の実権を握っていたのは孝志おじさんだった。社長は建前上のこと。会社的には、孝志おじさんが社長になってもなんら変わらないのかもしれない。

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