強引社長といきなり政略結婚!?
一成さんは私の髪をくしゃくしゃと撫でた。
見上げた一成さんの顔が優しくて、かえって胸が痛くなる。
「いくら痩せているとはいったって、男ひとりをよく担げたよ」
「……そうですよね。あの時は必死だったので」
重さを気にしているどころじゃなかった。
とにかく助けることで頭はいっぱい。おじい様を助けることができるなら、私の体はどうなってもいいとすら思った。
「汐里のおかげで一命は取り留めたんだ。感謝するのはこっちのほう。ありがとう、汐里」
一成さんに引き寄せられ、その腕に抱きしめられた。
「でも私、負けたんです」
どうもダメだ。一成さんと会った途端、弱気な気持ちで心がいっぱいになる。
多分それは、彼の大切な人を危険な目に遭わせてしまった負い目があるから。
「勝負は最後までできなかったはずだ。負けも決まってない」