強引社長といきなり政略結婚!?

孝志おじさんから報告があったのだろう。

あまりにもあっさりと展開が覆ったことには、私も驚いた。おじさんは、それだけ社長という座に憧れていたということなのか。

浩輔くんはひどい仕打ちをされたにもかかわらず、どこか楽しそうだった。怒りより、むしろ嬉しそう。
どうしてそんなふうにできるのかが不思議でたまらない。


「『汐里との結婚も諦めてくれ』だってさ。ほんとひどいよなぁ」


浩輔くんの乾いた笑いが車内に響く。


「本気で私と結婚したいわけじゃなかったでしょ? 浩輔くんには大切にしている女性がいたって聞いたよ」


浩輔くんの顔が途端に曇る。


「やけになって私と結婚するって言ってただけでしょ?」

「……うるさい」

「え?」


浩輔くんは大きく息を吐き出し、信号待ちで止まったところで私を見た。
冷ややかな眼差しに一瞬たじろぐ。

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