強引社長といきなり政略結婚!?
しかしその表情は、すぐに柔らかな笑顔へと変わった。
「ごめん。汐里との結婚までダメだと言われて、ちょっと気が立ってた」
「……私もごめん。余計なことだよね」
いくら幼馴染とはいえ、踏み込み過ぎてしまった。
私だって、勝手に過去を詮索されて、あれこれ邪推されたら腹が立つだろう。まぁ、私にはそんなたいそうな過去もないけれど。
ふと、そこで気づいた。
「ねぇ、どこに行くの?」
シートに預けていた背中を起こし、浩輔くんを見て問いただす。
窓から見える街の景色が、私の家とは逆方向だったのだ。
「ちょっとドライブ」
「え? そんなの聞いてないよ! 家まで送るだけって言ったじゃない」
呑気に返す浩輔くんに苛立って、ついきつい口調で言い返した。