強引社長といきなり政略結婚!?
ついさっき彼に同情的になったことを早くも後悔した。
浩輔くんは、いまいちつかみどころのない人だ。
「ところで、汐里のほうはどうなった? コンラッドの会長さん、汐里のことを認めてくれた?」
急に嫌な話題へと飛んでしまった。
思わず顔をしかめて黙っていると、浩輔くんが「うまくいってないってことか」と小刻みにうなずく。
「うまくいってますからご心配なく」
浩輔くんに指摘されたことが悔しくて、とっさに嘘を吐いた。真実が伴っていないせいで唇が震える。
「そう? 認めてもらって幸せいっぱいっていう顔じゃないけどね」
浩輔くんは私の顔を覗き込んでいたずらに笑った。
「汐里、なにが飲みたい?」
唐突に聞かれ、「え?」と聞き返す。
窓の外を見て、車が停車していたことに気づいた。