強引社長といきなり政略結婚!?

浩輔くんは私の顔を見ると、「汐里……」とポツリと名前を呼んだ。まさか直接私が出てくるとは思わなかったみたいだ。
多恵さんが私のすぐうしろでほうきを構えるのを感じた。


「寝込んでたんだって? もう大丈夫なのか?」

「雨に打たれて寝込むなんて初めてよ」

「……悪かったな」


浩輔くんが項垂れる。
やっぱり予想どおり謝罪に来たようだ。


「もうあんなことはやめてね。浩輔くんとは結婚できないから」

「……わかってる。この前、朝比奈一成にも『今度手出ししたらただじゃおかない』って言われたよ」


浩輔くんは自嘲気味に言った。
一時の自信に溢れたような様子は微塵も見られない。それがなんだか哀れに思えてしまった。


「俺も、無理にでも奪いに行けばよかったな。汐里になんでそうしなかったんだって言われた時、ハンマーで殴られたような気がしたよ」

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