強引社長といきなり政略結婚!?
「性懲りもなく、また来るとはね」
私の背後から低い声が響いて、肩をビクンと弾ませる。
一成さんだった。
彼は私の隣に立つと、肩を引き寄せて浩輔くんから離した。
「この前のことを謝りに来てくれたの」
そう説明するも、それで納得する一成さんではない。
「理由はなんであれ、汐里には今後近づくなと警告したはずだ」
私の肩を抱く手に力が込められる。
「わかってるよ。本当に謝罪に来ただけなんだ。……ふたりを見てると羨ましいのをとおりこして妬ましいね」
妬ましいというワードを使っている割に、彼は満面の笑みだった。
「だから余計にちょっかいを出したくなったんだろうな」
自己分析までしてみせる。
浩輔くんはそこで一度大きく深呼吸をした。
「汐里、悪かった。謝られたからと言って許せることじゃないかもしれないけど、汐里と再会してよかったよ。俺も無茶なこと、やってみる」
そう言って白い歯を見せた浩輔くんは、ついさっき入ってきた時の顔とは比べものにならないほど明るかった。
浩輔くんにどうか、幸せな結末が待っていますように。
そう願わずにいられなかった。