強引社長といきなり政略結婚!?

大泉さんが足を止め、一眼レフカメラを覗き込む。


「では、この辺りでそれとなくふたりで歩いてください。何気ないワンシーンを切り取りたいので」


それとなく歩いてって言われても……。
一成さんと顔を見合わせる。


「よし、さっさと終わらせるぞ」


一成さんが私の手を取り、水辺に沿って歩き出した。
耳に響くせせらぎの音が、なんとも心地いい。


「素敵なところですね」

「構想だけで二年かけたからね。最初は人工じゃなく本物の川を使う予定だったんだ。でも立地上やむなくこうなった」

「人工だろうと関係ないです。一成さんが情熱を注ぎ込んだ場所というだけで、ものすごい特別感」


取材はともかく、ここへ来ることを提案してくれた日下部さんには、あとできちんとお礼を言おう。
歩きながら一成さんを見上げると、嬉しそうに微笑む彼と目が合った。

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