強引社長といきなり政略結婚!?

「ありがとうございます。遅くならないうちに送り届けますので」


紳士的な笑みを両親に送った。


「汐里さん、行こう」


本当に理解不能だ。
とにかく、今日の今日でそんな人に付き合っていられない。両親からあっさり引き渡されてしまったけれど、私にだって自分の意思というものがある。
彼に差し出された手を無視してドアのほうへ歩いていこうとすると、うしろから左手を取られた。ハッとして振り返ると、朝比奈さんが口元に笑みを浮かべていた。
とっさに手を引き抜こうとしたものの、笑顔と裏腹に力強く手が握られてしまう。


「行こうか」


軽い言い方の割に、私を逃がさまいとする手の力は強かった。
いつもの調子で叩こうと出したもう一方の手は、彼のもう片方の手で阻まれた。
なんて俊敏な。もしかしたら、飛んでいるハエも一撃必殺できるかもしれない。


「それでは、行ってまいります」

「はい、行ってらっしゃい」


にこやかな両親に手を振って見送られてしまった。

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