強引社長といきなり政略結婚!?

リビングを出たところで立っていた多恵さんは、両手を口元に当てて大きく目を見開いていた。きっとこの後、“汐里様はいったいどうなるんでしょうか”と不安いっぱいに両親にすがりつくだろう。

有無を言わさず彼の車の助手席に乗せられ、シートベルトまで装着される。
彼は、スマートな身のこなしで運転席へと乗り込んだ。


「急で悪いな」


本当だよ。それがわかっているのに、なんなのだ、この行動は。
口に出さずに不満を胸いっぱいにため込んでいると、彼は身を乗り出して私の顔を覗き込んだ。


「怒ってる?」


当たり前だ。眉間に皺を刻み込む。
彼のほうを見ずに、ただ前だけをまっすぐ見ていると、不意に彼の手が私の顎に触れた。
反射的に出た私の手はさっき同様に彼に捕獲され、朝比奈さんのほうへと顔を向けられた。もう一段階深く眉間に皺を寄せ、彼を強く睨む。


「唐突だったことは謝る。だからこうして、少し話したいと思って連れ出したんだ」

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