強引社長といきなり政略結婚!?

それが内から滲み出るものなのか、それとも着ている高級そうな黒いスーツのせいなのか。とにかく、他のお客とは一線を画した男性だった。

店内の他のサラリーマンらしきお客を見てみれば、だいたいが五十代以上の年齢層。ゆかりちゃんが色めき立つのも無理はない。

ふたり揃ってじっと見入っていると、不意にその男性が顔を上げた。
左右対称の瞳がまっすぐにこちらを見たものだから、不自然に目を逸らす。

隣のゆかりちゃんは、「やっぱりカッコイイ」と口元に手を当てて小声ではしゃいだ。
ちょうどその時だった。


「唐揚げセットあがったよ!」


田辺さんが厨房から元気のいい声を上げる。


「はい!」


素早く反応したゆかりちゃんは、出来上がった唐揚げの皿を両手に持ち、テーブル席へと向かった。
年配の男性ふたりの常連さんだ。ゆかりちゃんに「今日もかわいいねぇ」なんて、鼻の下をデレデレと伸ばしている。
彼女がかわいいことに間違いはないけれど、いい歳をした男がちょっと情けない。
冷めた目で見ていると、そのうちのひとりが、不意にゆかりちゃんのお尻をタッチした。

< 6 / 389 >

この作品をシェア

pagetop