強引社長といきなり政略結婚!?
いやいや、大丈夫ですけどね。私としては、とりあえず手帳を届けるという使命を全うできたわけだし。
「それでいったいどうしたんだ」
私がここへ来た理由は聞かなかったようだ。
「お店に手帳を忘れて行ったので」
日下部さんの手に渡った手帳を手で指す。
朝比奈さんは目をぱちくりとさせたあと、大きく見張った。
「そうだったのか。全然気づかなかったよ。そうか、ありがとう」
「それでは、私はこれで」
大袈裟に喜ぶ朝比奈さんに背を向けると、「汐里」ともう一度呼び止められた。
「送って行くよ」
朝比奈さんまで私の行く手に足を向ける。
「いえ! 大丈夫ですから!」
「社長、それは困ります。これから打ち合わせがありますから」