強引社長といきなり政略結婚!?
手帳を差し出すと、日下部さんは訝しげに受け取って中身を確認し、「確かに朝比奈のものですね」とうなずいた。
「わざわざお届けくださいまして、ありがとうございました」
口元は笑っているのに、目は笑っていない。
ものの数分で苦手だと思ってしまった。
役目は果たしたし、さっさと退散しよう。
「では、失礼します」
頭を下げつつ彼の前から立ち去ろうとした時だった。
「汐里!」
呼ばれた名前に振り返ると、朝比奈さんがこちらに向かって走ってくるところだった。
誰か別の人から私がいることを聞いてきたのか。
「社長、どうしてここに」
日下部さんがすかさず尋ねる。
「どうしてって、汐里が来てるってのに、俺が来ないわけにはいかないだろ」