強引社長といきなり政略結婚!?
渋々起き上がり、二階のバスルームへ向かう。するとそこには、多恵さんが私を待ち構えるようにして立っていた。
「おはよう。多恵さん」
大きく伸びをして、欠伸を噛み殺す。
「汐里様、おはようございます」
一緒に夜更かしをしたのに、私と違ってすっきりとした顔だ。
「この時期、シャワーだけでは寒いですから、バスタブにお湯を張ってあります。バラの香りの入浴剤を入れてありますので、ゆっくり浸かって朝比奈様の元へお急ぎください」
“ゆっくり”“急ぐ”とは、どうしたらできるのか。
多恵さんは満面の笑みでバスルームのドアを開けた。
三日前、私が朝比奈さんに自宅まで送り届けてもらった日から、多恵さんはすっかり彼のことを気に入ってしまったようだ。準備万端、お湯まで張ってしまうのだから。しかもバラの香りだなんて。
私が入った途端、背中でドアが閉まる。
大きな鏡には、寝ぼけ顔でボサボサ頭の私が映っていた。