強引社長といきなり政略結婚!?
いくら乗り気じゃない相手とはいえ、確かにこのままで会えるような様子じゃない。
息を長く吐き出し、パジャマを脱ぐ。
頭から熱いお湯を浴びて、多恵さん推薦のバラの香りに体を沈めた。
約四十分後、身支度を整えてリビングへ向かう。
パンツルックという指定の装いを一応守り、パールとビーズをあしらったグレーのセーターにオフホワイトのジーパンを合わせた。上着は黒いチェスターコートだ。
リビングに近づくと、中から賑やかな話し声が聞こえてきた。楽しそうな両親の笑い声が弾む。いったいどんな面白い話をしているのか。
ドアを開けると、その話し声がピタッと止んだ。
「お待たせして申し訳ありません」
一応謝っておく。
「汐里さん、おはよう」
朝比奈さんが手を上げる。爽やかな笑顔だ。
今日の朝比奈さんは、ワイン色のニットソーとカーキのカーゴパンツに、ライトグレーのジャケットを羽織るというカジュアルなスタイルだった。