強引社長といきなり政略結婚!?
「おはようございます」
彼の笑顔に対抗するように、私は真顔で頭を軽く下げた。
朝早くに起こされた不満をぶつけたかった。
そんな私を気にするわけでもなく、朝比奈さんは「早速出かけよう」と、軽い身のこなしで立ち上がり、私の隣に並んだ。
「それでは藤沢社長、お母様、汐里さんを今日一日お借りします」
「どうぞどうぞ」
前回同様、ふたりとも両手を上に向けて私をあっさり差し出した。
釈然としないのは、私ひとりだけみたいだった。
エスコートされるように車の助手席に乗せられ、エンジンがかけられる。
「汐里、いい匂いがする」
朝比奈さんが急に鼻を私に近づけたものだから、つい体を窓の方へと寄せる。
「――入浴剤です」
「入浴剤?」
「さっきお風呂に入ったので」