強引社長といきなり政略結婚!?

思いきり否定するのに、彼ときたらいたずらに笑うばかり。私の言葉を信用していないように見える。


「聞きたいことがあったら、じゃんじゃん聞いてくれてかまわないよ。結婚するんだから、疑問は残したくない」


朝比奈さんは助手席のシートに手をかけ、私の顔を覗き込むようにした。
顔を上げると、彼の優しい眼差しとぶつかる。どういうわけかホッとしてしまうような表情だった。
それとは裏腹に、鼓動が速まるのを感じる。
それは単に、男性とふたりきりで車に乗っているせいだろう。別に、彼に好意を持っているからじゃない。

そんな彼の顔を見つめていると、不意に彼がニヤッと笑う。


「汐里は木から落ちて、腕を骨折したことがあるんだって?」

「え!? そんな話をどこでって……父と母からですか?」


急な話題転換だったものだから、頭の中が軽く混乱する。
さっき、家のリビングから聞こえてきた笑い声は、私の噂話をおもしろおかしくしていたのだろう。私のいないところでそんな恥ずかしい話をするなんて、随分ひどいじゃないか。

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