強引社長といきなり政略結婚!?
朝比奈さんは苦々しい顔で言った。
彼の行動は、すべて日下部さんにはお見通しみたいだ。
またもや私と一緒だと彼に知られたら、さらに恨まれてしまいそう。
「汐里、悪いがここでちょっと待っててくれ。電話をかけてすぐに戻ってくるから」
「え? あ、はい……」
朝比奈さんは迎えに来たスタッフと一緒に駆け出してしまった。
さすがに馬だとあっという間に姿が小さくなる。そして、牧草地の向こうに見えなくなった。
「チャーリー、ふたりだけになっちゃったね」
首をさすると、チャーリーは耳をピンと立て、辺りを見渡すような仕草をした。
すると突然、チャーリーが鼻を鳴らして動き出す。
「……チャーリー? どうしたの?」
宥めるように体をさすりつつ、手綱を強く引く。
もしかしたら、大好きな朝比奈さんがいなくなったせいかもしれない。