強引社長といきなり政略結婚!?

「チャーリー、すぐに戻るから心配しないで」


必死に言い聞かせる。
ところが効果はまったくなく、チャーリーはどんどん興奮していくように見えた。

どうしよう!と思った時だった。チャーリーが蹴るように前足を高く上げる。二本のうしろ足で立つような体勢をとった。


「キャッ!」


次の瞬間、私は背中から振り落とされ、地面へ転がってしまった。お尻を強打して、一瞬息が吸えなくなる。


「……いったーい」


そう言った声が震える。片足を伸ばした状態で座ったまま動けない。

チャーリーはブルンと鼻をひと鳴らししたあと、宿舎のほうへ蹄を蹴って行ってしまった。朝比奈さんの時同様、あっという間に姿は見えなくなった。

まるで血流が一気にお尻へと押し寄せたかのように、ドクンドクンと脈打っている感覚がする。あまりの痛さにどうすることもできなかった。
それからほんの数分が経ったころ。

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