オフィスに彼氏が二人います⁉︎
お互い布団に潜った状態で、七香にそう言われる。
そりゃあ、付き合ってる訳だし、そういうことは最近はよくしてるから、別におかしいことはない……。

でも、七香からこんなこと言ってくるの、初めてじゃないか?


とは言え、断る理由がある訳もなく。


「お、おお」

俺はそう答えて、七香のパジャマを脱がそうとする。


だけど。


「ま、待って」

「ん?」

「きょ、今日は私がする」

「え?」

俺はさっきから間抜けな声を出してばかりだ。
でもそれは、七香が普段は言わないようなことを言ってくるから。


俺が戸惑っていると、七香は俺のパジャマのボタンを外してくる。

ちょ、待っ……。何だコレ、いつも俺が七香にしていることだけど、自分がされるのは恥ずかしい……。


上を脱がされると、七香は俺の胸に触れたり、身体を舐めてきたりと、積極的な行為を見せる。

正直、大好きな彼女にこんなことされたらうれしいし、興奮する……。
でも。


「七香」

俺は七香の腕を掴み、見つめた。
七香も動きを止めて、俺を見つめ返す。


「何か、あった?」

今日の七香は、様子がおかしい。酔ってるだけかな、とも思ったけど、それとは違う気がする。何か事情があるんじゃないだろうか。


……すると。


「……紘希くん、今日居酒屋で私と時山部長が一緒にいるところ見たでしょ?」

「え?」

「私、気付いてた。なのに、どうして何も聞いてくれないの?」


どうしてって……それは変なことを言って七香に嫌われたくないから。そして、自分に自信がないから。

でも、何て言ったらいいかわからずに戸惑っていると。


「……ごめん。こんな言い方、ズルいよね」
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