オフィスに彼氏が二人います⁉︎
どこまでも最低な自分に嫌気が差す。
でも久我くんは、「気にしなくていいから。俺とお前の仲だろ」と言って、壁掛けハンガーに掛けていたスーツの上着を手に取る。
「早くここ出ようぜ。今出れば、一回家で着替えてから出勤しても間に合うだろ。さすがに二人して昨日と同じ服で出勤はマズイ」
そう言われ、私もベッド下に放置していたバッグを慌てて掴んだ。
壁掛けの全身鏡で軽く前髪だけ整えると、先に扉の前で待っていてくれていた久我くんに駆け寄る。
「久我くん、こんなことになっちゃってほんとにごめんね」
「だから別にいいって」
「……彼女さんにも申しわけないことした」
「え? ああ……でも緊急事態だったわけだし。なにも起きてないし。大丈夫だろ」
うーん、そうだろうか? 恋人の知らないところで男女がラブホでひと晩二人きり。彼女からしたら、これは立派な浮気になってしまうのでは……?
でも当の久我くんは、なんでもないような落ち着きっぷりだ。もちろん、これは浮気じゃないってことは久我くん自身がわかっているからこその落ち着きっぷりなのかもしれない。
でも、なんというか……この久我くんの様子に、ちょっとだけ違和感を覚えた。なんか、真面目で彼女想いの久我くんらしくないっていうか。……彼女のことなんかどうでもいい、みたいな……。
って。私がそんな失礼なこと思ったらダメだよねっ。そもそも、私に気を遣わせないようにそういう態度を取ってるだけかもしれない! いや、そうに違いない!
……そう思ったら、『久我くんってやっぱりいい人だなぁ』って思う。
そして、ドアノブに手を掛けた久我くんに、「ひと晩一緒に過ごしたのが久我くんで良かった」と言った。
でも久我くんは、「気にしなくていいから。俺とお前の仲だろ」と言って、壁掛けハンガーに掛けていたスーツの上着を手に取る。
「早くここ出ようぜ。今出れば、一回家で着替えてから出勤しても間に合うだろ。さすがに二人して昨日と同じ服で出勤はマズイ」
そう言われ、私もベッド下に放置していたバッグを慌てて掴んだ。
壁掛けの全身鏡で軽く前髪だけ整えると、先に扉の前で待っていてくれていた久我くんに駆け寄る。
「久我くん、こんなことになっちゃってほんとにごめんね」
「だから別にいいって」
「……彼女さんにも申しわけないことした」
「え? ああ……でも緊急事態だったわけだし。なにも起きてないし。大丈夫だろ」
うーん、そうだろうか? 恋人の知らないところで男女がラブホでひと晩二人きり。彼女からしたら、これは立派な浮気になってしまうのでは……?
でも当の久我くんは、なんでもないような落ち着きっぷりだ。もちろん、これは浮気じゃないってことは久我くん自身がわかっているからこその落ち着きっぷりなのかもしれない。
でも、なんというか……この久我くんの様子に、ちょっとだけ違和感を覚えた。なんか、真面目で彼女想いの久我くんらしくないっていうか。……彼女のことなんかどうでもいい、みたいな……。
って。私がそんな失礼なこと思ったらダメだよねっ。そもそも、私に気を遣わせないようにそういう態度を取ってるだけかもしれない! いや、そうに違いない!
……そう思ったら、『久我くんってやっぱりいい人だなぁ』って思う。
そして、ドアノブに手を掛けた久我くんに、「ひと晩一緒に過ごしたのが久我くんで良かった」と言った。