オフィスに彼氏が二人います⁉︎
「ま、待って久我くん。突然のことに、頭が混乱して、わけがわからない」
私がそう言うと、久我くんは「あ、悪い」と言って、私から身体を離した。
真剣な瞳で私に告白してくれたたった今までの彼はまるで知らない人みたいだったけど、ごめんなんて言いながらアッサリと壁ドン状態から解放してくれたところは、やっぱりいつもの優しい久我くんだ。
「て、ていうか久我くん、彼女は……?」
未だにパニック状態を必死で抑えながら、彼にそう聞く。この三年間、私は彼から彼女の存在をずっと聞かされていた。
すると彼は、自身の猫っ気を軽くくしゃっと搔きあげながら、
「……彼女がいる、って思われてた方が、七香が俺に対してより警戒しないと思ったんだよ。下心があるからお前にかまってるって思われたくなかった。まあ結局は、やっぱお前と付き合いたいっていう下心を出しちまったわけだけど」
と、少し恥ずかしそうに答えた。
「そ、そのために三年間も彼女がいるって嘘を……?」
「……言っとくけど、俺だって七香に彼氏ができるたびに、自分も新しい恋をしようってずっと思ってたんだ。だけどお前、いつも変な男に引っかかってすぐ別れるから」
「あ、うん……」
そういうことか。理由はわかった。……でも、それ以上なんて答えたらいいかがわからない。
久我くんのこと、もちろん嫌いなわけがない。だけど、今までそういう風に見たことがなかったのも事実。おまけにずっと憧れていた時山部長に食事に誘われていて……えーと、えーと……。
「まあ、とにかくホテルは出ようぜ。仕事に間に合わなくなる」
そう言って、久我くんは扉を開けた。ホラ、と私に先に出るように促してくれる。
「あ、ありがとう」
軽く頭を下げてそう言って、私はささっと部屋を後にした。続けて久我くんも部屋を出て、一緒に駅まで向かう。まだ始発の時間だし、知り合いに会う警戒をする必要はないだろう。
私がそう言うと、久我くんは「あ、悪い」と言って、私から身体を離した。
真剣な瞳で私に告白してくれたたった今までの彼はまるで知らない人みたいだったけど、ごめんなんて言いながらアッサリと壁ドン状態から解放してくれたところは、やっぱりいつもの優しい久我くんだ。
「て、ていうか久我くん、彼女は……?」
未だにパニック状態を必死で抑えながら、彼にそう聞く。この三年間、私は彼から彼女の存在をずっと聞かされていた。
すると彼は、自身の猫っ気を軽くくしゃっと搔きあげながら、
「……彼女がいる、って思われてた方が、七香が俺に対してより警戒しないと思ったんだよ。下心があるからお前にかまってるって思われたくなかった。まあ結局は、やっぱお前と付き合いたいっていう下心を出しちまったわけだけど」
と、少し恥ずかしそうに答えた。
「そ、そのために三年間も彼女がいるって嘘を……?」
「……言っとくけど、俺だって七香に彼氏ができるたびに、自分も新しい恋をしようってずっと思ってたんだ。だけどお前、いつも変な男に引っかかってすぐ別れるから」
「あ、うん……」
そういうことか。理由はわかった。……でも、それ以上なんて答えたらいいかがわからない。
久我くんのこと、もちろん嫌いなわけがない。だけど、今までそういう風に見たことがなかったのも事実。おまけにずっと憧れていた時山部長に食事に誘われていて……えーと、えーと……。
「まあ、とにかくホテルは出ようぜ。仕事に間に合わなくなる」
そう言って、久我くんは扉を開けた。ホラ、と私に先に出るように促してくれる。
「あ、ありがとう」
軽く頭を下げてそう言って、私はささっと部屋を後にした。続けて久我くんも部屋を出て、一緒に駅まで向かう。まだ始発の時間だし、知り合いに会う警戒をする必要はないだろう。