オフィスに彼氏が二人います⁉︎
でも、夜景がすごかったのは本当だ。キラキラ眩しくて、目を瞑ってもいつまでも瞼の裏で輝いていた。
時間的に夜景ではないけど、眺めの良いところが好きというのも合っている。

だけど……。


「あの、展望台は確か、休日は三時間待ちってニュースで観たような……」

そうなのだ。最近できたばかりの話題スポットだけに、たくさんの観光客が連日集まっている。
中でも一番人気なのは、やはりこの高層ビルの目玉でもある展望台。
現に、車の外から見えるだけでもかなりの行列だ。

……景色は見たいけど、この行列に三時間も並ぶのはなぁ……。


すると時山部長は、私の隣でクス、と笑って。


「大丈夫。嵩元さんを行列に並ばせたりしないから」

そう言って、時山部長はそのまま車を走らせる。


あれ? こっちはお客様駐車場じゃないような……。


ビルの裏の、高級車がズラリと並ぶ駐車場に車を停めると、時山部長は警備員さんに声を掛けた後、明らかに一般の入り口ではない場所からビルの中へ入っていこうとする。


「ちょ、ちょっと待ってください。なんでこんなところから入れるんですか!?」

従業員用通路口、ともまた違う。入り口のドアはピカピカに磨かれているし、重装備の警備員さんが二人もついている。
その警備員さんの、時山部長への態度もなんだかよそよそしい。これじゃまるで……。


「VIP……」

思わず言葉をこぼすと、それを聞いた時山部長はハハッと笑った。


「VIPなんてとんでもない。俺の叔父が、このビルを保有している会社の社長っていうだけ」


え……えぇえええええ゛えええ!!?
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