狼社長の溺愛から逃げられません!
「俺はもう帰るから」
「え、帰っちゃうんですか?」
もう少し一緒にいたかったのに。
しょんぼりとうつむくと、ぐいとおでこを指でつかまれた。
前髪ごと掻き上げるように上をむかされ瞬きをすると、こつんと軽く額をぶつけられた。
視線をあげると、至近距離で社長が笑った。そして唇がふさがれる。
「しゃちょ……」
「唇まで冷たくなってる」
社長が一瞬だけ触れた唇を離して、あきれた口調でそう言った。
まつげがふれあいそうなほど近くで睨まれ、恥ずかしくて視線を落とす。
「社長……」
小さな声でつぶやくと、社長が私の顔をのぞきこんできた。
言葉の先を促すように見つめられ、恐る恐る口を開く。
「社長はどうして私にキスをするんですか……?」
勇気を振り絞った私の問いかけに、社長は肩を上げてちいさく笑った。
「どうしてだと思う?」
意地悪に聞き返され、上目遣いで社長の表情を伺いながら口を開く。
「やっぱり。禁煙するため、ですか?」
「バァカ」
「バカって……」
「お前本当に鈍感すぎる」