狼社長の溺愛から逃げられません!
 

……どうしよう。

イベントは夕方の十八時から。試写会は先着順に好きな場所を選べる自由席だから、お客さんたちは五時を過ぎたころから会場に集まりはじめる。

あと、せいぜい四時間。

時計を睨みながら、頭を働かせる。

これからタレントさんをお願いして来てもらう? 代わりにダンスを踊ってくれるダンサーさんを頼む?
でも、都合よくだれかを呼べたとしても、今からじゃ『ルイーズ』を見てもらう時間の余裕もない。

イベントの映画を見たこともないタレントさんを呼んだって仕方がない。

どうしよう。どうすれば……。


そのとき、強く肩を掴まれた。

はっとして顔をあげると、試写会の様子を見に来たのか社長が立っていた。

明日から海外に出張する社長は、『ルイーズ』の試写に来る予定はなかったのに。
わざわざ時間を見つけて来てくれたのかな。

焦りと動揺でいっぱいいっぱいだった気持ちが、社長の顔を見た途端ゆるみそうになる。
勝手に涙があふれそうになって、慌てて口元をひきしめた。

 
< 118 / 273 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop