狼社長の溺愛から逃げられません!
そのとき社長が口を開いた。
「そのモデルにはダンスを踊ってもらう予定だったんだよな?」
「そうです。彼氏と幸せそうに踊る姿がとても魅力的だったので……」
でも、もうそれは無理だ。
もし仕事だからと無理やり会場に来てもらったとしても、あんな幸せそうな顔でダンスを踊ることなんてできるわけがない。
「じゃあ有川、お前が踊れ」
突然そう言われ、驚いて瞬きをする。
「えっ?」
踊るって、私がダンスを? 試写会に来たお客さんの前で?
こんなときに冗談なんて。と顔をあげると、社長は真剣な表情をしていた。
「踊ってただろ、深夜のオフィスで楽しそうに」
「踊ってましたけど……」
コピーを百個考えろと言われ、やけくそ気味でひとりでオフィスで踊っていた。
クルクル回った拍子にダンボールに足をひっかけて転んで。尻もちをついて資料に埋もれた情けない自分がなんだか面白くなって、ひとりで笑っていた。
でも、あんなの、人前で見せられるわけがない。