狼社長の溺愛から逃げられません!
なんだろうと思っていると、古賀さんはごくりと息を飲んでからためらいがちに口を開いた。
「有川さん。今度さ、一緒に食事にでも行かない?」
そう言われ、私は笑顔でうなずく。
「いいですね。ハンバーガーのお礼に私がおごりますよ!」
「本当? いや、お金は俺がちゃんと出すけど……」
「せっかくだし華絵さんも誘いましょ。華絵さんにもいつもお世話になってるから、なにかお礼がしたいなって思ってたんですよね。華絵さん夜は忙しいと思うから、ランチでもいいですか?」
うきうきしながらそう言うと、古賀さんはおでこに手を当てて僅かに表情を曇らせる。
「いや。できればふたりでがいいかなって……」
「ふたりですか?」
私が首をかしげたとき、デスクの上に置いていたスマホが震えだした。
誰かから電話かな? と思って画面を見れば『宮田努』と表示されていた。
私の横から同じように画面を覗き込んでいた古賀さんの肩が強張る。
「あ、もしかして彼氏とか?」
「はい」
そう問われ私がうなずくと、古賀さんは大きなため息を吐き出した。
「そっかぁ。有川さん、彼氏いるんだね」
どうしてそんなに驚いているんだろう、と思いながら首をかしげると、古賀さんが立ち上がった。