狼社長の溺愛から逃げられません!
すると、社長が体をかがめて耳元でささやいた。
「……大丈夫だ。俺がついてるから」
鼓膜を震わせた甘い声に、思わず目を見開く。
そのとき、反対側のそでからイベントの司会進行をつとめてくれる雑誌の編集長が登壇し、会場に拍手が起こる。
……ああ、もうすぐ出番だ。
そう思うと、膝がガクガクと震えだした。
「有川。お前の思うルイーズのダンスシーンの魅力はなんだ?」
「えっと……、へたくそなステップを楽しそうに踊るヒロインが可愛くて。あと、片想いをしているヒーローのことが好きで好きで一緒に踊れるのが嬉しくてしかたないって表情が、見ているだけで幸せな気分になれるから」
小声で問われ、戸惑いながら答える。
「だったら、お前も俺のことが好きで好きで仕方ないって顔をして踊れよ」
社長がそう言って、私のこめかみに触れるだけのキスをした。
「……っ!!!」
温かい唇の感触に驚いて目を見開くと、くすりと意地悪に笑う。
こんな、誰が見てるかもわからないところで……! と慌てて舞台そでの奥にいるスタッフを見回したけれど、カーテンで死角になって誰も気づいていないようだった。
「では、お願いします!」
そんなことをしている間に気づけば出番で、音楽が流れ出す。