狼社長の溺愛から逃げられません!
 

どどどどうしよう。
ついに出番になってしまった。

慌てる様子を笑って見下ろしながら、社長が私の手を引いて歩き出す。

試写会のイベントなんて今まで何度も開催してるけど、自分がステージにのぼったのははじめてだ。
本番の舞台の上がこんなに明るいなんて知らなかった。

お客さんが一斉に拍手をする。招待したマスコミや雑誌のカメラマンが次々にシャッターを切る。
はじめて見る光景に完全に浮足立った私を、社長がくすりと笑った。

「ほら。本番だぞ」

耳元でそう言って、私の腰に手を回して引き寄せる。

見上げればすぐそばに社長の整った顔。逞しい体と密着して、思わずどきどきしてしまった。
真っ赤になった私を見て、社長が目を細めて口を開いた。

「もう何回もキスしてるんだから、抱き寄せられたくらいでいちいち動揺するなよ」

からかうような口調に社長の顔を睨むと、唇を片方だけ引き上げて意地悪に笑う。


 
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