狼社長の溺愛から逃げられません!
 

こんなときでも動揺する私を面白がる社長に思い切り顔をしかめた。
すると、社長はゆっくりと顔を傾け私の耳元に唇をよせる。

「……有川。さっきホールにお前が戻ってきたとき、あんまり綺麗でみとれた」

優しくささやかれ、目を見開いて社長の顔を見ると驚くくらい甘い表情をした社長が私のことを見つめていた。

「他のやつに見せたくないから、そのままどこかに連れ去ってやろうかと思った」

耳元で私にだけ聞こえるようにささやかれ、思わず頬が熱くなる。

「社長……」

流れ出した音楽に合わせ、社長にリードされて踊りだす。ぐっと強く腰を引き寄せられ、社長の顔にみとれながらステップを踏む。


……どうしよう。

踊りながら私は途方に暮れる。

どうしよう。社長のことが好きで好きで仕方ない。
あんな甘い言葉、私をリラックスさせるためだってわかってる。
あの鬼社長が本気でそんなことを言うわけがないってわかってる。


……だから、勘違いするな。



 
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