狼社長の溺愛から逃げられません!
 

有名な俳優さんが出演するような話題作ではないけれど、丁寧な作りと温かいストーリーで、今映画好きの若者を中心にじわじわ人気を集めている監督。

たしか歳は三十代半ばのはずだけど、人懐っこい笑顔のせいか年齢よりずっと若く見える。

「前の外資系の配給会社にいたときに黒瀬と一緒に働いてたんだ。その頃からの知り合い」
「そうなんですか……」

如月監督が社長と同じ映画の配給会社に勤めていたなんて知らなかった。

「あの頃は同僚の仲間と四人くらいで、いっつも映画の話してたんだよ。いつかこんな映画を手がけたいとか、青臭い夢を語りながら」
「あの社長が、夢をですか……?」

夢を語る社長、というのが想像できなくて思わず顔をしかめると、如月監督はケラケラと楽しそうに笑った。

「今じゃやり手の冷血社長とか言われてるらしいけど、俺からしたらあいつはただの映画バカだよ。試しに今度、黒瀬になんで映画関係の仕事についたか聞いてみなよ。純粋っぷりに驚くから」

そう言われ、戸惑いながらうなずく。

「それにしても、俺の方が年上だし先輩なのにあいついっつも容赦ないんだよ。美月ちゃん、黒瀬に年功序列って言葉を教えてやって」

 
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