狼社長の溺愛から逃げられません!
「なにかあったんですか?」
「今俺が撮ってる映画、黒瀬のとこで配給する予定だから撮影現場にも俺の自宅にも顔を出して注文つけてくるんだけど、うるせーの。多分、プロデューサーより口出してるよあいつ」
「あ、そういえば、映画制作会社と協力して映画を撮ってる最中ですよね」
脚本やキャスティングの段階からうちの会社も絡んでいる映画だ。
「これじゃあ客が入らない、とか。この脚本じゃ話題にならない、とか。俺は金のために映画を撮ってるんじゃないんだよ!!って何回もケンカになっても、あいつ絶対折れないの。すげぇむかつく」
「そうなんですか……」
うっぷんをはらすように悪口を並べられ、私は思わず苦笑いしながらうなずく。
「もう腹がたって、俺の好きに撮れないなら映画を撮るのやめるぞって脅してみたの。そしたらさ、あいつなんて言ったと思う?」
「きっと、すごいキツイことを言いそうですよね」
あの容赦のない社長のことだ。
甘ったれたことを言うなとか、やる気がないならやめてしまえとか、冷たいことを言ったに違いない。
そう思っていると、如月監督はため息をついた。