狼社長の溺愛から逃げられません!
 

「あ、悪口聞かれてた?」

そんな私の隣でケラケラ笑う如月監督に、社長は呆れたようにため息をつく。
その様子からも、ふたりが本当に親しい間柄なのが伝わってきた。

「黒瀬、今日はこれからなんかある? 久しぶりに飲みにいかない?」

険しい顔の社長に少しも臆することなく、にこにこ笑うマイペースな如月監督。

「悪い。予定がある」
「そっか」

そんな話をしているふたりをぼんやりと眺めていると、社長に腕をとられた。
なんだろう、と顔を上げると「行くぞ」と短く言って歩き出す。

「行くって、どこにですか……?」

慌てて如月監督に会釈をした私の腕を掴んだまま、社長が広い歩幅で歩き出す。

「いいから」
「あの、会場の後片付けとか……」

混乱しながらそう言うと、「バァカ」と鼻で笑われた。

「そんなヒラヒラした格好で後片付けなんてさせられないだろ」
「あ、そうですよね」

高いヒールのパンプスに、綺麗なドレス姿で後片付けなんてしたら、みんなの迷惑にしかならない。
近くにいた華絵さんが気付いて、「美月ちゃん、あとは片付けるだけだし、私たちがやるから気にしなくていいよ」と声をかけてくれた。

< 142 / 273 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop