狼社長の溺愛から逃げられません!
「なににする?」
そうたずねられ「よくわからないのでおまかせします」と言うと社長は頷き、慣れた様子で料理や飲み物を選ぶ。
シャープなデザインのグラスが運ばれてきて、その中に注がれたシャンパンに思わず見惚れた。
透明な金色の液体の中で、細かな気泡がたちのぼり弾ける。
優雅な身のこなしのウエイターさんが恭しく頭を下げ部屋を出ると、社長とふたりきりになる。
個室にあるガラスの大きな窓からは、ライトアップされたホテルの中庭が見えた。
人工的に整えられた美しい木々がビル街の夜景を背景に浮かび上がる。現実味がなくてなんだか夢を見てるみたいだ。
「今日は頑張ったな」
そう優しく労われ、慌てて首を横に振る。
「いえ、社長や鳥谷部さんや、助けてくれたみんなのおかげです」
「お前はそうやって、すぐ謙遜するな」
あきれたように笑いながら、社長はグラスに口をつける。
「謙遜じゃないです」
私がそう言うと、社長は小さく首をかしげた。