狼社長の溺愛から逃げられません!
「私ひとりじゃなにもできませんでした。ステージに上がるまでは不安で逃げ出したかったけど、社長が優しくはげましてくれたから頑張れました」
なんだか恥ずかしくて、うつむきながら口をひらく。
「私をリラックスさせるためのお世辞だってわかってますけど、社長に綺麗だって言ってもらえてうれしかったです」
私の言葉を聞いて、社長が持っていたグラスをテーブルに置いた。
長い指先で、トンとテーブルを叩く。
ちらりと視線だけを上げて社長のほうをうかがうと、優しい表情で私のことを見ていた。
「お世辞じゃない」
そう言われ、驚いて顔を上げる。
「本当に、綺麗でみとれた。ほかの男に見せたくないと思った」
そう言いながら、社長の手がこちらにのびてきた。
頬杖をつきながらテーブルに置いた私の手に触れ、長い指で手の甲をなぞる。
その指の感触に、心臓が飛び跳ねた。
「……もう――――っ!!!」
ドキドキすぎて耐えきれなくて、思わず顔を覆ってしまう。
そんな私に、社長はくすくすと笑った。