狼社長の溺愛から逃げられません!
食事を終え落ち着いた照明のエレベーターに乗り込むと、なぜか社長は私の着替えが置いてあるはずの客室ではなく、もっと上層階のボタンを押した。
「社長……?」
部屋はここじゃないのに。
ぐんぐん上昇するエレベーターの中で戸惑いながら隣に立つ社長を見上げると、綺麗な唇の端を引き上げいたずらに笑う。
「一度でいいからこんなホテルに泊まってみたかったんだろ?」
たしかにメイクをしてもらいながらそう言っていたけど、なんで社長が知っているんだろう。
そう不思議に思っていると、エレベーターの扉が開いた。
社長が当たり前のように目の前の部屋の扉にカードキーを差し込んで、こちらを見る。
意味がわからず立ち尽くす私の前で、部屋へと続く扉が開かれた。
「え……?」
私はその部屋の広さに目を見張って絶句する。
「ここって、もしかして、スイートルームですか……!?」
なんとか声を絞り出して社長にそう聞くと、笑いながらうなずかれた。
落ち着いたトーンの高級感の漂うインテリア。コーナーに設置されたリビングスペースは足元から天井まで二面が大きな窓になっていて、東京の夜景を見渡せる。