狼社長の溺愛から逃げられません!
 

『こっちがやっと時間見つけて電話したら、お前は人の気も知らないでふらふらしてるし……』
「ふらふらしてないですよ」
『相変わらず無自覚かよ』
「なにがですか?」

きょとんとしていると、電話のむこうからカチャッと金属の擦れる音が聞こえてきた。
何の音だろうと考えて、はっとする。

「社長、煙草吸ってないですよね?」
『なんで?』
「ライターの音が聞こえたから」

私がそう言うと、社長がふっと笑った。

『あぁ。イライラするから吸いたいなと思ってた』

きっと、無意識にライターをいじってたんだろう。私に指摘されて、気づいたように笑う。

「ダメですよ。せっかく禁煙してるのに」
『どうしようかな。イライラを紛らわしてくれるやつもいないし。こっちでほかに誰かかわりを探そうかな』

禁煙のイライラを紛らわす相手を、カナダで探すなんて。
社長の唇が他の女の子にキスをする様子を想像して慌てて首を横に振った。

「そんなの……、もっとダメですっ!」

 

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