狼社長の溺愛から逃げられません!
『冗談だ、バァカ』
「冗談でもダメですからね!」
青ざめて必死に叫んだ私に、社長が楽しげに笑う。
『あー……。この電話に手を突っ込んで、お前をこっちに引っ張り出せたらいいのに』
笑いながら、独り言のようにそう言った。
「私は禁煙グッズでも、便利道具でもありませんよ」
女の子扱いどころか、人間あつかいもされてない。
『わかってるよ』
ふてくされる私に、社長が優しく笑う。
電話越しに耳をくすぐる笑いを含んだ吐息に、きゅんと胸がしめつけられた。
早く会いたい。社長の顔が見たい。この声を直接聞きたい。
「いつごろ日本に戻られるんですか?」
『来週の火曜かな』
「まだ、あと一週間もあるんですね」
そんなに長い間社長に会えないんだ。
そう思うとしょんぼりして心が沈んでしまう。
そんな私の気持ちを見通したように、社長が電話の向こうでクスクスと笑った。
『早くキスしてほしい?』
突然そう聞かれ、顔が真っ赤になった。