狼社長の溺愛から逃げられません!
「な……っ、そんなこと、ないです……っ!!」
『ふーん』
必死に否定する私を、社長はまったく信じてないようだ。
『ま、あと一週間で帰るから、お利口にご主人様の帰りを待ってろよ』
「ご主人様って、私は犬じゃないですってば」
『そうだったっけ?』
クスクスと笑いながら言われ、胸がさわいでしまう。
ぎゅっとスマホを握り、ドキドキしながら口を開く。
「でも……お利口に待ってたら、なにかご褒美くれますか?」
恐る恐るそう言うと、社長は優しい声でうなずいた。
『わかった。なにか考えとく』
電話越しのその声の甘さに、どうしようもなくきゅんとする。
早く会いたい。早く社長の顔を見たい。早くキスしたい。
「社長……」
電話を切るのが名残惜しくて、そう呼んだけれど続きの言葉が出てこない。
もじもじと口ごもっていると、電話の向こうで社長がふっと笑った。
『有川』
囁くように名前を呼ばれ耳を澄ますと、耳元で『チュっ』と小さなキスの音が聞こえた。
「――――っ!!」
まるで耳元に優しいキスを落とされたように錯覚して、心臓が飛び跳ねる。