狼社長の溺愛から逃げられません!
 

冷蔵庫を開くうしろ姿をみつめていると、中から取り出した缶ビールをこちらに見せ「飲む?」と聞いてきた。
少しためらってからうなずく。
すると小笠原さんは少し意外そうに肩を上げ、缶ビールを二本持ってこちらに歩いてきた。

「ありがとうございます」

無言で目の前に差し出されたビールを受け取り、プルタブを開け口をつける。
立ったままごくごくとあおると、それを見ていた小笠原さんが吹き出した。

「一気に飲むね」
「すいません。緊張して、喉が乾いていたので」
「あれで緊張してたのかよ」

笑いながら小笠原さんがダイニングセットの椅子を引っ張り出し私に勧めてくれる。
ありがとうございますと頭をさげ腰をかけると、小笠原さんもビールを開け一気に喉をならした。

そして、はぁーと息を吐き出しながらこちらを見る。

「試写会であんたと踊る黒瀬を見てさ、あいつのあんな優しい顔を見るのははじめてで無性に腹がたったんだ」
「社長の優しい顔、ですか……?」

そう言われ、首をかしげた。
どうしてそんなことに腹を立てるんだろう。


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