狼社長の溺愛から逃げられません!
 




社長に肩を抱かれたまま、小笠原さんのマンションから連れ出された。

強引に乗せられたのは、社長のシルバーの高級車。
助手席に押し込まれ大人しくシートベルトを閉めると、運転席側にまわった社長が不機嫌な顔で乱暴にシートに腰を下ろす。

バタンと強くドアが閉められ、密室になる。

車内は妙に静かだった。
緊張で息をのんだ音まで社長に聞こえてしまいそうで、そっと息を殺して深呼吸をする。

すると、ハンドルを握りながら社長がちらりとこちらを見た。

「……なにもされなかったか?」

ぶっきらぼうに問われ、慌ててうなずく。

「はい。なにも」

答えた私の表情をじっと見て、社長が視線を前に戻す。
その不機嫌そうな横顔に、恐る恐る話しかけた。

「あの……。なんで私が小笠原さんのマンションにいるってわかったんですか?」
「如月から連絡がきた」
「如月監督……?」

前をむいたまま短くそう言われ、私は首を傾げた。


 
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