狼社長の溺愛から逃げられません!
動揺を隠しオフィスに戻り、なんとか仕事をこなす。
私が考えた『ルイーズ』のキャッチコピーを元に、先輩の古賀さんと相談して宣伝の方向性を考える。
「今できてる資料でテレビ局や新聞社に売り込みをしてるんですが、いまいち反応がよくないんですよね。やっぱり私の売り込みの仕方が悪いのかなぁ」
頬杖をつきながらため息をつくと、古賀さんが優しく笑って私の頭をぽんとなでてくれた。
「仕方ないよ。フランス映画ってだけで小難しくてとっつきづらいイメージがあるから、普段あまり映画を見ない人には敬遠されがちなんだよね。『ルイーズ』はフランス映画だけど気軽に楽しめるポップな映画だから、その辺をアピールできるように頑張ろう」
「はい」
頷いて背筋を伸ばす。
普段あまり映画を見ない人にも興味を持ってもらえるような宣伝って、難しい。
一体どうしたらいいんだろう。
唇を引き結んで考え込んでいると、古賀さんが笑って声をかけてくれた。
「有川さん。昨日は頑張ったし、今日はそろそろ帰っていいよ」